天国から地獄へ

誕生日の夜、娘のところで
ご馳走になって(孫達も帰ってきて
いたので)「私って幸せだなぁ」
とルンルン気分でいた。


翌朝愛犬がいない。赤い首輪と
リードもつけたまま脱走して
しまった。普段散歩以外は
道までも出たことは無い。


その日の明け方まだ暗いとき
いつにない鳴き方をして
鳴き止まないので、娘が、
寒いのでオシッコに行きたい
のかも、と連れて行こうとした
時、振り切って一目散に
行ってしまったという。


娘は車で、私はシニアカーで
探し回ったがみつからない。
警察や保健所にも届け、事故や
保護されたときの対処を依頼した。


今日で3日目
この寒空に何処でどうしている
のかと思うといてもたっても
いられない。慣れないシニアカーで
かわべりや、砂利道や、遠くまでも
探しに行ってしまったので
「おばあちゃんまで事故になったら
どうするのよ」と大目玉をくらった。


両手の平に乗るほどの子犬の時
一番下の孫が友達の家から
貰ってきて以来15年近くたった。
若い犬なら雄犬の誘惑に血迷って
どこまでもついて行って
しまうこともあろうが、人間の歳に
換算すれば私と同じくらいの
老犬ゆえ、そんなに遠くまでは
行けないようにもおもう。


孫が、私が意気消沈しているので
「いまのところ悪い知らせも
ないから、どこかで可愛がって
貰っているかもしれないよ」
となぐさめてくれた。


何か不満があったのか、
何か違う世界を夢見たのか。
なにか目的があったのか、
もの言えぬ犬の気持ちは
解らない。
ともあれ、自分の意志で
飛び出していってしまった
のだから。


帰りをひたすら待つよりない。
仏壇にも「パパ、お空から
探してー」と頼んだ。



娘が裏庭の梅の花をおってきてくれたので
備前焼に。

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