蝉の鳴き声に代わって朝夕は
コオロギの涼やかな声が
聞かれるようになった。朝まで
つけていたエアコンもタイマーで
3時間で切るようになった。
秋は着実に近づいて来ているように
思うが、いやはや日中の猛暑は
いつまで続くのかと辟易する。
8月初旬から発熱に悩まされ
やっと平常に戻った頃から
今度はひどい頭痛に襲われた。
特に夜中には頭を枕に置くこと
すら出来ず上向いても、
右向いても左向いても痛くて
寝られない。起き上がって
家中(と言っても広くも無い)を
徘徊(と言っても意識はあるので
恍惚の人ではないつもり)したり
テレビをつけてパラリンピックを
見たりして夜をあかした。
翌日、脳神経外科と整形外科を
受診した。 脳のCTの結果は
「きれいです。心配ありません」
整形では頸椎のX線を。ここでも
「頸椎の4番目と5番目が
変形していますが、この程度は
歳相応です」との診断。
じゃあこの痛さなんなのよ!(心の声)
「リハビリ室にいって電気を
かけたりマッサージしたりして
みましょう」
リハビリ室にいって受付をすると
今日はもう一杯なので来週の
予約を入れます、と。私、いま
痛くて困って居るんです!(心の声)
鎮痛剤と胃薬と肩こりの薬と湿布と
なぜか葛根湯まで処方され
納得いかないまま帰った。
その晩も薬も効かず、痛み、翌日
藁をも掴むおもいで鍼灸院に
行った。電気治療と鍼とマッサージ
をしてもらい至極らくになって
帰ったものの、夜になると
痛みは益々ひどくなった。
これではいよいよ救急車で運ばれ
入院か、あるいは遂にお陀仏か。
と夜中に、入院に必要なものを
整えたり、万一に備えて生命保険の
証書や117の会員証を確認したり
日頃から気になっている物を
片付けたりした。
薬も効かず、冷やしても温めても
鍼灸の効果も無くなす術は無い。
考えてみれば、もう人生を
終わってもいい歳ではある。
好きなように、幸せに生きて
来たのだし、子供たちも孫たちも
心配なく暮らしてくれている。
そろそろ潮時か、この世に未練も
ない。
と、ひらきなおった。 翌日娘に
貯金通帳はここ、証書類はここ、
もしもの時の連絡先などを伝えた。
皮肉なことに、開き直ったのが
良かったのか悪かったのか
徐々に痛みが薄れつつある。
8月初旬から約1ヶ月、
お盆飾りも迎え火もせず、仏に
なった夫は帰るに帰れずどこを
彷徨っていたことか。
長々とおばあの頭痛顛末記を
お読み下さった方、
申し訳ありませんでした。
近隣の田んぼは早や稲刈りが
始まった。